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そうですね、『追放の王国』も、かなりえぐってくるというか、鋭い切っ先をつきつけてくるなと感じましたが、『カリギュラ』は『カリギュラ』で独特の印象が残りました。
なにげに、論理的に整合性が一番あるのが、一番狂っているカリギュラなのが、すごい。人間は、不合理、不条理だからこそ「人間」なのかも、と思いました。
わたしも、いろんな意味で圧倒されました。
自分のなかのものさしとか価値観が揺らぐ感じ。 カミュって、すごいところを突いてきます。 良くも悪くも、論理的に狂う人って強烈な個性ありますね。 TRACKBACK
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蜷川幸雄演出・小栗旬主演で話題になった舞台の原作。
劇場に行けなかったが、「情熱大陸」は観たぞ、という人は多いのではないだろうか(... .....続きを読む
『カリギュラ』A.カミュ![]() [不可能!] 月を手に入れようと手をのばしても、願いは叶わない。ならば? カミュによって『異邦人』『シーシュポスの神話』とともに、「不条理三部作」と位置づけられた戯曲。 2007年に、小栗旬主演、蜷川幸雄演出で公演した舞台で、話題になった。 ハヤカワのすごいと思うレーベル「ハヤカワ演劇文庫」から出ている。なにがすごいって、恐ろしくニッチであろう分野をレーベルとして、しかも文庫として出してしまうこの漢気。 カリギュラは実在のローマ皇帝で、悪役の権化として名高いネロと並ぶ暴君とされている。 いわゆる暴君の中の暴君を、本書は題材にしているわけだが、カミュはさすがカミュであり、ただの狂人としては描かない。 カリギュラは、前後不覚の狂人ではなく、理性をもった上で、きわめて論理的に狂ってみせる人間として描かれる。 月を手に入れたいと、手をどれだけのばしても、それは不可能だ。だけど、カリギュラは全力で手を伸ばす。持てる力の限りを尽くして、「不可能」に挑もうとする。 あまりにちっぽけな人間は、世界に対してどれほどの抵抗力も持たないが、カリギュラには権力があった。だから権力を全力で使う。「死ね」と命令し、「国を飢饉にする」と言い放って実行する。 「私は論理に従うことに決めた。私には権力がある。論理がどれほど高くつくか、お前たちはみることになるだろう」(本文より) 命はどうでもいい。自分のものも、他者のものも、等しくどうでもいい。だから殺すし、自分の死もなんとも思わない。 ここらへんのロジックの立て方がすごい。極めて論理的に正当で、ある意味平等精神だが、結果としてはやはり大いに狂っている。 カリギュラは、世界に抵抗するひとりのちっぽけな人間だが、また他者へ降りかかる「災厄」ともなる。 『ペスト』では、人々を強制的に、死の名のもとにまっ平らにする災厄は、「ペスト」という病気だった。病気はそれ自身の意思を持たない。またそれに立ち向かうことに、罪の意識はない。 しかし、『カリギュラ』の場合、まっ平らにするのは「一人の人間」である。 圧倒的質量をともなってせまってくる悪、恐怖に、人はどのように、どのような理由をもって立ち向かうか? 人民のため、愛する人のため、利益、自分の存在のため。いろいろ理由はあるが、要するに自分の存在のために、他者の存在を殺すことに変わりはなくて、それぞれの人がそれぞれの選択をしていく。 いろいろと壮絶だった。やっぱりカミュは好きだ。 『異邦人』が、その短さのせいか、よくカミュ入門編のように言われるが、『カリギュラ』の方がいいと、個人的には思う。短い作品で、カミュらしい。倫理とか常識とかでごまかしきれない淵まで、穏やかに、しかし鋭く突きつめてくる。 世界は容赦もなく、呵責もなく。 Albert Camus Caligula ,1944. アルベール・カミュ: 岩切 正一郎訳『カリギュラ』早川書房、2008年。 カミュの著作レビュー: 『ペスト』 recommend: >カミュ『シーシュポスの神話』・・・表題より、「不条理な論証」がおすすめ。 >シェイクスピア『リア王』・・・悲劇の王様。 >ヒトラー『わが闘争』・・・歴史上の残虐。 rate:☆☆☆☆☆
そうですね、『追放の王国』も、かなりえぐってくるというか、鋭い切っ先をつきつけてくるなと感じましたが、『カリギュラ』は『カリギュラ』で独特の印象が残りました。
なにげに、論理的に整合性が一番あるのが、一番狂っているカリギュラなのが、すごい。人間は、不合理、不条理だからこそ「人間」なのかも、と思いました。
わたしも、いろんな意味で圧倒されました。
自分のなかのものさしとか価値観が揺らぐ感じ。 カミュって、すごいところを突いてきます。 良くも悪くも、論理的に狂う人って強烈な個性ありますね。 TRACKBACK
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Author:ふくろう男 murmur
しばらくまた古典回帰(0520)
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