『壜の中の手記』ジェラルド・カーシュ
壜の中の手記 )

[語り騙る]


まるでどこかの旅先で知り合った老人が、「ひまつぶしに話でもいかがかな?」と語りだすような、そんな不思議なイメージ。

この本はすべてが、すでに書き手が「誰かから聞いた話」という形で語られる。
ああ、物語とは本来このようなものだったと思い出す。

人から人へと語り継がれる物語。
そのたびに話は不思議さを増し、同時にそれが真実かどうかなんてどうでもよくなってくる。
むしろ奇妙な話をどれだけ魅力的に語るかで、その物語の価値は決まる。
その点、ジェラルド・カーシュの腕はお見事。

表題「壜の中の手記」のほか、「豚の島の女王」「ねじくれた骨」「時計収集家の王」がおすすめ。
なぜか日本人がたくさん出てくるが、それもちょっとした見所のひとつ。

読書後には、誰かに「こんな話を知っている?」と、語ってきかせたくなる。


...Gerald Kersh THE OXOXOCO BOTTLE AND OTHER STORIES , 1957.

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いかにもオールド・ファッションの、物語らしい物語。
短編といえば、日常を切り取るものが昨今多い中、起承転結がはっきりしている本書はちょっと新鮮だった。

reccomend:
>プーシキン『スペードの女王・ベールキン物語』 (オールド・ファッションの物語といえば)
>アンブローズ・ビアス『悪魔の辞典』 (「壜の中の手記」は、彼がモデルとなっている)
>カルロス・フエンテス『老いぼれグリンゴ』 (ビアスの行方の物語)
rate:☆☆☆
ふくろう男
イギリス文学
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