2008.06.09 Mon

[完成されたありきたりの物語]
イギリス文学の傑作のひとつに数えられる恋愛喜劇。
イギリスの田舎町で繰り広げられる、格好よくてお金持ちの男性と才気あふれる女性のロマンスと勘違い、ドタバタ、そして最後は大団円のハッピーエンド。
プロット自体はありきたりすぎるほどありきたりなのに、それでも先へ先へと読み進めたくなる、ふしぎな物語。
登場人物は、いかにも人間くさい。
みんな欠点を持っていて、それが会話や思考の中にはっきりと書き出される。
人は、どんなに冷静なつもりでも偏見でものを見ているし、自分に対しては虚栄心がつきまとう。
えらそうにしている人ほど、そんなものでガチガチになってしまっている。
作者は、そんな人々を皮肉に笑うが、それがからりと明るくて嫌味がない。
彼女のすばらしい人間観察力に、ううむ、と感心する。
特に、主人公エリザベスのあのはっきりした性格は、なかなか見ていて痛快。
文学作品を読んでいてめずらしく、友達になってみたいと思った人物。
"It is truth universally acknowledged, that a single man in possession of a good fortune must be in want of a wife."
「独身で財産がたっぷりある男性なら、きっと妻を欲しがっているはずだというのは、世の中で広く認められている真理である」
有名な書き出しの一文。彼女の英語は非常に美しいので、原文でいつかちゃんと読了してみたい。
「田舎の村の三軒か四軒の家族、それさえあれば小説が書けるのです」
ジェイン・オースティンが言ったとされる言葉。
彼女はまさに有限実行だったといえる。
完成されたありきたりの物語は、小手先のトリックを使わずとも、何世紀も後の読者を楽しませることができるのだなあ、と。
...Jane Austen PRIDE AND PREJUDICE ,1813.
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