11,
2008

[定義してみせよう]
「甘い酒より辛い酒を、感傷よりは思慮分別を、ユーモアよりは機知を」(序文)
18世紀から19世紀を生きた、アメリカの毒舌文筆家が作る、「辞書」。
【愛国者:部分の利害の方が、全体のそれよりも重要だと考えているらしい人。政治家に手もなくだまされるお人よし。征服者のお先棒をかつぐ人。】
しょっぱなからこれなので、どんな感じかはわかっていただけると思う。
ジャーナリストであった彼らしく、政治や文筆に関わる定義が多い。
中には首をひねるものもあれば、「なるほど」と納得するものもあり。
女性の扱いがひどいので、なにか女性に関する因縁でもあるのかとは思ったが。
「戦争」「平和」「人道主義」などの、いかにもな定義よりも、「安堵」「鵞鳥」「クラリネット」「サーカス」「早熟な」「マカロニ」あたりの、一見地味な定義の方が、けっこう面白かった。
ビアスは、著作もさることながら、彼の人生もなかなかにおもしろい。
メキシコ内戦の時に現地におもむき、そのまま行方知れずになって、伝説と化した。
この逸話をモチーフにした小説もある。(ジェラルド・カーシュの「壜の中の手記」)
ビアスのシニカルな笑い声は、今なお、あちこちに響き渡る。
...Ambrose Gwinnett Bierce THE DEVIL'S DICTIONARY , 1911.
アンブローズ・ビアス/西川正身訳 『悪魔の辞典』 岩波書店、1997年。
------------
recommend:
>芥川龍之介『数珠の言葉』 (ビアスに触発されて)
>ジェラルド・カーシュ『壜の中の手記』 (ビアスをモチーフにした話)
>カルロス・フエンテス『老いぼれグリンゴ』 (ビアスの消失のもうひとつの仮説)
rate:☆☆☆




ふくろう男

