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2008

[日常の分岐点]
カナダを代表する作家による、短篇小説。
アリス・マンローは「短篇小説の女王」と呼ばれて、タイム誌でおなじみの「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれたりしている。(ちなみに2008年の1位はダライ・ラマ)
本書は、彼女が70歳の時に発表されたもの。
おふくろの味が自分のつくるものと一味違うように、この物語もほかの作家とはなにか一味違う、「深い味」のようなものがある。
アリス・マンローは"The point of no return"、人生の分岐点、決定的瞬間を描くことがとてもうまい。
幸せな新婚生活が、ケーキの行方不明というごく小さな出来事で、なにかがズレる。
しかもそうした瞬間は、他の人には決して分からないような一瞬に、ごくごくありきたりな日常の出来事の中に起こる。
何も変わっていないように思えるのだけれど、それまでとは何かが決定的に変わってしまった、という感じに。
時間軸が10年単位であちこち飛ぶものだから、最初はそのテンポにとまどうけれど、そのうち長編映画でも見ている気分になってくる。
一文一文が、手のひらにじわりとくる重さを持っている。
いいなと思った作品は、物語としておもしろい「恋占い」、情景描写が美しい「浮橋」、最後の一文に収束する「クイーニー」。
ジュンパ・ラヒリと似たような雰囲気を持っているけれど、アリス・マンローの作品には、人生を眺める大きな時間軸がある。
それは作風の違いではなく、人生経験の差かもしれない。
Arice Manro Hateship,Friendship,Courtship,Loveship,Marriage , 2001.
アリス・マンロー/小竹由美子訳 『イラクサ』 新潮社、2006年。
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アメリカとカナダは距離的には近いけど、その気質はけっこう違う。
カナダはこののんびりとした、だけど自活する意識の高い人が多いように思う。
文学作品でも、その差はけっこうはっきりしている。
カナダの作品は、自然描写も多いし、日本になじみやすいかも。
reccomend:
>アリステア・マクラウド『冬の犬』 (カナダ生まれのじんわりとした雰囲気の物語)
>チェーホフ『チェーホフ・ユモレスカ』 (短編の名手 inロシア)
rate:☆☆☆☆




ふくろう男

