『嵐が丘』エミリー・ブロンテ
嵐が丘


[激情の嵐]

すごい兄弟姉妹というのが世界にはいる。
文学史上のすごい姉妹といえば、やはりブロンテ3姉妹だろう。

ブロンテ3姉妹(シャーロット、エミリー、アン)は、ヨークシャーの牧師の娘として生まれた。
3人が3人とも歴史に名を残す作品を書いたという、じつに驚異的な姉妹。
その中でも、次女エミリーの書いた『嵐が丘』は、彼女の没後に評価がぐんぐんと上がった不思議な作品。

本書は、はじめは男性名で出版されたらしいが、この物語は、女性が強烈な空想力で描き出した物語であると、読みすすめるたびに思う。
舞台は「嵐が丘」「鶫の辻」という二つの屋敷のある荒涼とした土地。
この閉じられた舞台の上で、二人の主人公、キャサリンとヒースクリフは、恋とも愛とも執着ともいえる、じつに野性的な感情をさらけ出して、生きて、死んでいく。

じっさいに物語の中にも幽霊は出てくるが、登場人物がどうにも幽霊くさい。
何かに取りついたような極端な性格の人物像、ふたつの丘だけという行動範囲の狭さ、荒地という舞台、よく死んで入れ替わる登場人物が、こんな印象を与えている。

みんな、それぞれに性格が悪くて、人間的。
悪、愛、どちらにせよそれは執着で、全員がそれぞれに命がけなのは、見ていてすごいと素直に思う。
恋愛小説かと言われれば、「どうだろう・・・」という感じだが。
(あまりにヒースクリフの性格がすごすぎて、ヒーローとしてはおそらく失格)

人間のある一部分を特化して、そのままにさらけ出した、このぶちまけっぷり。
Wuthering Heightsは、ざわついている。


...Emily Jane Brontë Wuthering Heights , 1847.
 エミリー・ブロンテ/鴻巣友季子訳 『嵐が丘』 新潮社、2003年。

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「嵐が丘」は、イギリスの都会の話でも美しい田園の田舎の話でもなく、ブリテン島のケルト的伝統に基づいた、閉じたワンダーワールドの物語であるように思う。
それにしても、やっぱりイギリスは幽霊がお好き。

ちなみに本書、訳の問題かどうかは知らないが、みんな妙に口が悪い。

recommend:
ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』 (イギリスの幽霊話)
rate:☆☆☆☆
ふくろう男
イギリス文学
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