17,
2008

[清潔であることの生きにくさ]
「祈るな、それは嘘だ」(帯より)
39歳で不治の病で逝去する、アメリカ女性作家による、いかれたコメディ。
ちなみに、オコナー賞のフランク・オコナーとは別人である。
帯の一文があまりに印象的だったために手に取った一冊。
神はいるかいないか、救いはあるのかという宗教的な問題がテーマの物語。
「キリストのいない教会」を説いてまわる主人公ヘイズは、言動ともにかなりクレイジーな人間。
いわゆる自家製の宗教をあがめ、それをあちこちで布教する。
いわゆる蔑視される「新興宗教」の典型みたいなものだが、これがさまざまな矛盾をはらむ代物で、じつに薄っぺらい。
金銭目的なら、嘘をついても良心はこれっぽっちも痛まない。
しかし主人公ヘイズは、金銭目的ではなく、わりと本気でこれが正しいと思い込んでいる。
嘘がつけない、徹底的に不器用な、純粋な人間。
そんな主人公は、やがて自分の矛盾に気づいて、迷い、転落していく。
一見、カルト宗教じみたキテいる人間だらけのやばい小説に見える。
だけど、テーマはあくまで「神への姿勢」という、宗教的に普遍なものだと思う。
「神などいない」と嘆くそのことが、すでに神への祈りであり、純粋でまじめに向き合おうとする人こそ、世界と神、自分の「かみ合わなさ」に絶望する。
また、これはあくまでコミック小説であるらしい。
ゴリラの衣装をまとって踊る青年や、ミイラを大事にする少女など、なかなかシュールな場面がある。
これで笑えるコアな読者は、はたしてどれだけいるのやら。・・・
...Flannery O`Connor WISE BLOOD , 1952.
フラナリー・オコナー/須山静夫訳 『賢い血』 筑摩書房、1999年。
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本書、内容はともかく、訳が悪い。
主人公の名前がヘイゼルだったりヘイズだったりと一致していないのはいかがなものか。
宗教やら神学論は、これはこれですごく興味深い話。
どんな学問をやっていても、哲学と宗教は必ずぶち当たる。
思想という名の木の根っこのようなものだと思う。
日本だと、あんまりこの手の話はしにくいのが残念なところ。
宗教を無視して、今の世界も文学も語れないと思うんだけどな。
recommend:
>ドストエフスキー『罪と罰』 (良心の呵責)
>ミラン・クンデラ『エドワルドと神』 (神との関係)
rate:☆☆☆




ふくろう男

