16,
2008
[ぼくは行かなきゃならない]
「相変わらずのコールフィールドだ。いったい、いつになったら大人になるんだ?」(本文より)
アメリカの「永遠の青春小説」。
1950年代に書かれて、今なお読まれている作品。
本書の主人公、ホールデン・コールフィールドは、友人や先生、学校、女の子、まわりにいるあらゆる人々にたいして、ホールデンは何かにつけて一言物申す。
「どうしようもない」だとか「だらしない」とか「がまんできない」だとか。
もちろん、同じくらい、自分のことも言う。
「弱い」「勉強が出来ない」「狂っている」などなど。…
実際彼はそのとおりで、「文武両道、かっこういいヒーロー」とは、まさに対極に位置している。
半分くらいいくころには、文句ばかりでだんだん読むのがうんざりしてきた。
何がいいのか、この本は?まじめに問いかけたりもした。
だけど、残り三分の一くらいのところ、唯一ホールデンが悪く言わない妹フィービーとの会話あたりで、「ああそうか」と納得する。
本書の題名ともなる、ホールデンの世界について、他者について考えていること。
なるほど、彼は確かに周りに悪態はつくが、だからといって、他者のことを本当に嫌っているわけではない。
欺瞞、偽善、うそくささ、そういったものへのこの反発。
「いんちきくさい」ものへの反発はむしろ、曲がったことをなあなあにできない純粋さからか。
そう思えると、一気にホールデンへの目線がやさしくなる。
なんといっても、妹フィービーが妙にかわいいので、彼女の存在だけで、一読の価値はある。
「ねえホールデン、友達にげっぷのやり方を教わったの。聞いてくれる?」
規律による単純さを嫌い、無駄や脱線を愛する。
さて、どんな大人になりたいか?
"If a body catch a body coming through the RYE..."
...J.D.Salinger The Catcher in the Rye ,1951.
J.D.サリンジャー/ 野崎孝訳 『ライ麦畑でつかまえて』白水社、1984
recommend:
>スコット・フェツジラルド『グレート・ギャツビー』
>ジャック・ケルアック『路上』 (アメリカの青春物語)
rate:☆☆☆





ふくろう男

